※本記事は2026年7月26日時点の情報に更新しています。Copilot Coworkは2026年6月16日に一般提供が開始され、料金体系が変更されています。
2026年3月9日、MicrosoftがAIの新機能「Copilot Cowork(コパイロット・コワーク)」を発表しました。
「CopilotってChatGPTベースじゃなかったの?」「Coworkって名前、AnthropicのClaude Coworkと同じじゃない?」と混乱した方も多いのではないでしょうか。
実はこのCopilot Cowork、Anthropicと緊密に協業し、Claude Coworkを支える技術をMicrosoft 365 Copilotに取り込んで開発されたという、ちょっと意外な背景を持つプロダクトです。
今回はCopilot Coworkの基本から、既存のCopilotとの違い、Claude Coworkとの関係、料金体系まで整理していきます!
Copilot Coworkとは
Copilot Coworkは、Microsoft 365 Copilotの新機能として追加されたAIエージェントです。Microsoft自身が「Wave 3」と呼ぶ大型アップデートの目玉として、2026年3月9日に発表されました。
その後、2026年6月16日に世界で一般提供(GA)が開始され、現在はMicrosoft 365 Copilotライセンスを持つ全ユーザーが利用できます。
従来のCopilotは「質問に答える」「文章を要約する」といった1回のやり取りで完結するタスクが中心でした。
一方、Copilot Coworkは「やりたいことを伝えるだけで、複数のステップにまたがる仕事をバックグラウンドで実行してくれる」という、これまでとは次元の異なる機能です。
Copilot Coworkは「チャットで答えをもらう」から「仕事を丸ごと任せる」へのシフト。Microsoftはこれを「AIアシスタントからAIエージェントへの進化」と位置づけています。
さらに特筆すべきは、Anthropicと緊密に協業し、Claude Coworkのエージェント技術をCopilotに取り込んでいるという点です。MicrosoftはOpenAIに130億ドル超を投資してきた経緯がありますが、Copilot自体は「マルチモデル設計」を掲げており、OpenAI・Anthropic双方のモデルをタスクに応じて使い分ける方針です。
モデル面では、提供開始時点はAnthropicのモデル(Opus 4.8・Sonnet 4.6)で動作しています。Frontierプログラムでは既にGPT-5.5も利用可能です。低コスト運用向けの専用モデル「Cowork 1」も近日追加予定です。
(参考:Microsoft公式ブログ「Copilot Cowork: A new way of getting work done」)
なぜAnthropicと協業したのか
「OpenAIに巨額投資しておいて、なぜAnthropicの技術を?」という疑問は当然ですよね。
Microsoft自身はこれを「マルチモデル戦略」と説明しています。Copilotは特定のAIモデルに依存するのではなく、タスクに最適なモデルを自動で選択する仕組みを目指しているとのことです。
背景にはこんな事情もあります。2026年1月にAnthropicが「Claude Cowork」(デスクトップ上でファイル操作やアプリ操作を自動化するAIエージェント)を発表したところ、ソフトウェア株全体に売りが広がり、Microsoft株にも警戒感が及んだと報じられました。
つまり「自社の脅威になったAnthropicの技術を取り込んで、逆に自社製品の強みに変えた」という見方もできるわけです。なかなか大胆な戦略ですね。
(参考:Microsoft公式ブログ「Powering Frontier Transformation with Copilot and agents」)
Copilot Coworkで何ができるのか(4つの活用例)
Microsoftが公式に紹介している活用シーンを4つ紹介します。
① カレンダーの自動整理
Outlookのスケジュールを確認し、優先度の低い会議をピックアップ。承認すれば自動でリスケや辞退を実行してくれます。集中作業の時間枠も自動で確保してくれるとのこと。
② 会議の事前準備
過去のメール・ファイル・会議メモから関連情報を集め、ブリーフィング資料やプレゼン、フォローアップメールの下書きまでまとめて作成。
③ 企業リサーチ
決算情報やニュースを収集し、エグゼクティブサマリーやExcelワークブックに整理して出力。
④ 製品ローンチの準備
競合比較をExcelで作成、バリュープロポジションの文書を起草、顧客向けピッチデッキを生成——といった一連のワークフローを横断的に実行。
これらのタスクは数分〜数時間にわたってバックグラウンドで実行されます。途中経過のチェックポイントがあり、ユーザーが確認・修正・中断できる仕組みです。「勝手にやられて取り返しがつかない」ということはなさそうです。
Copilot Coworkの使い方の流れ
実際の操作はどう進むのか。公式の説明では大きく5ステップです。
- タスクを依頼する:自然言語でゴールを伝えます。細かい手順の指定は不要です
- Coworkが自律実行する:複数ステップの作業をバックグラウンドで実行。その間は別の仕事を続けられます
- チェックポイントで確認する:途中の確認ポイントで進捗確認・軌道修正・中断ができます
- 成果物を受け取る:完了後、資料・ドキュメント・分析結果などを受け取れます
- 管理者がコストを確認する:Copilotクレジットのコスト管理画面で利用状況を確認。予算上限・アラート設定も可能です
先ほどの4つの活用例も、どれもこの流れの上にあります。操作として覚えることはほぼなく、ゴールをどう言葉にするかがポイントになりそうです。
※Copilot Coworkは法人向けMicrosoft 365 Copilotライセンスが前提のため、個人アカウントでの実機検証はできていません。上記はMicrosoft公式発表に基づく操作フローです。
Claude Coworkとの違い
名前が似ていて混乱しやすいので、AnthropicのClaude CoworkとMicrosoftのCopilot Coworkの違いを表にまとめました。
| Copilot Cowork (Microsoft) | Claude Cowork (Anthropic) | |
|---|---|---|
| 動作環境 | クラウド(Microsoft 365テナント内) | ローカル(ユーザーのPC上) |
| データ連携 | Outlook, Teams, Excel, OneDrive等 (Work IQで統合) | デスクトップ上のファイル・アプリ |
| セキュリティ | Microsoft 365の既存権限・ガバナンス・コンプライアンスポリシーに統合 | デスクトップ/ローカル起点の設計。Team/Enterprise向けの管理機能も提供 |
| 対象ユーザー | エンタープライズ(法人)中心 | 個人〜Enterprise(Pro, Max, Team, Enterpriseプランで利用可能) |
| AIモデル | Claude + OpenAI等(マルチモデル) | Claude |
| 料金 | M365 Copilotライセンス前提+Copilotクレジット従量課金($0.01/クレジット〜) | Pro, Max, Team, Enterprise等の対象プランに含まれる |
ざっくり言うと、Claude Coworkが「デスクトップ起点の万能AIアシスタント」なら、Copilot Coworkは「Microsoft 365に統合された業務代行AI」という棲み分けです。
Fortuneの取材で、MicrosoftのAI@Work担当CMO Jared Spataro氏はClaude Coworkを高く評価しつつ、企業利用ではクラウドベースのデータ連携や管理の重要性を強調しています。
ClaudeとChatGPTをさらに詳しく比べたい方は、こちらの記事もご覧ください。
料金体系と利用条件
料金は、発表時からいちばん大きく変わった部分です。利用にMicrosoft 365 Copilotライセンスが必要という前提は変わっていません。
変わったのは払い方です。2026年6月16日の一般提供開始以降、Copilotクレジットによる従量課金制に完全移行しました。
- 単価:1クレジットあたり$0.01
- 算定基準:モデル使用量・コンテキスト取得・ツール呼び出し回数・実行時間
- 割引:まとめてコミットする場合の割引プラン(P3)あり
- 猶予措置:Frontier期間(2026年3月30日〜6月16日)の利用テナントは2026年7月1日まで課金を猶予
- 管理側の準備:支出上限・予算配分・利用アラートをMicrosoft 365管理センターで事前に設定
とはいえ法人向けライセンス前提という建て付けは変わらず、個人ユーザーが気軽に試せるものではないのは相変わらずです。
上位バンドル「Microsoft 365 E7」との関係
Copilot Cowork単体の課金とは別に、上位バンドルMicrosoft 365 E7($99/ユーザー/月、2026年5月1日提供開始)があります。M365 E5にCopilot + Agent 365 + Entra Suite + セキュリティ機能をまとめたプランで、Coworkのクレジット従量課金とは別枠です。
提供スケジュール
発表からGAまでは約3ヶ月。Microsoftとしてはかなり速い展開でした。
- 2026年3月9日:発表。一部顧客でResearch Preview開始
- 2026年3月30日〜6月16日:Frontierプログラム(早期アクセス)として提供
- 2026年5月1日:Microsoft 365 E7の提供開始
- 2026年6月16日:世界で一般提供(GA)開始
- 2026年7月1日:Frontier期間利用テナントの課金猶予が終了し、従量課金が本格適用
個人ユーザーへの影響は?
「法人向けなら自分には関係ないかな?」と思うかもしれませんが、この発表にはいくつか注目すべきポイントがあります。
① AIエージェント化の流れがより鮮明になった
「チャットで質問→回答をもらう」というAIの使い方から、「ゴールを伝えて丸ごと任せる」エージェント型へのシフトが、大手プラットフォームレベルで具体化してきました。
② Microsoftが「マルチモデル」路線を明確にした
巨額投資先のOpenAIだけでなく、Anthropicの技術も主要機能に採用。AIモデルは”どれか一つ”ではなく、用途に応じて使い分ける時代に入ったことを象徴しています。
③ Claude Cowork系のアプローチが大手にも採用される流れが見えてきた
Microsoftが自社の主要機能にClaude Coworkの技術を取り込んだという事実は、Anthropicのエージェント型AIアプローチが業界全体で注目されていることの表れです。個人でClaudeを使っている方にとっても、心強いニュースと言えるでしょう。
CopilotのほかにGrokも注目のAIです。
私の感想
このニュースを見たとき、まず思ったのは「え、MicrosoftがAnthropicと組むの?」という驚きでした。OpenAIに何兆円も投資してきたのに、Copilotの目玉機能にClaude系の技術を持ってくるのは意外でした。
個人的にはClaude、ChatGPT、Copilotといろいろ使っている中で、一番好きなAIはClaudeです。日本語の自然さや、指示の意図をくみ取る精度が高いように思います。そのClaudeの技術がMicrosoftという大手に採用されたのは、普通にうれしいです。
AIエージェントが進化して「ゴールだけ伝えれば勝手に仕事してくれる」世界が近づいているのは、純粋にワクワクします。ただ、月30ドル(約4,500円)はさすがに高いです。会社が出してくれるなら即使いたいですが、個人で払うにはちょっとハードルが高いですね。この流れがいずれ手頃な個人向けプランに降りてくることを期待しつつ、引き続きウォッチしていきます。
まとめ
- Copilot Coworkは、Microsoft 365に追加されたAIエージェント機能。複数ステップのタスクをバックグラウンドで自律実行してくれる
- Anthropicと緊密に協業し、Claude Coworkの技術を取り込んで開発(OpenAIモデルも併用するマルチモデル設計)
- Work IQにより、メール・会議・ファイルなど業務データ全体を理解して動く
- 利用には法人向けのM365 Copilotライセンス($30/ユーザー/月)が前提
- 2026年6月16日に世界で一般提供(GA)開始。料金はCopilotクレジットの従量課金制($0.01/クレジット〜)
「AIに仕事を任せる」という未来が、想像以上のスピードで現実になってきていますね。
個人ユーザーにとっては直接使えるプロダクトではありませんが、AIエージェントの進化は今後の働き方やAIツールの方向性を考える上で非常に重要なトピックです。今後もこうしたAIの最新動向はキャッチアップしていきたいと思います。
なお、OpenAIも2026年7月に同種のエージェント機能「ChatGPT Work」を投入しました。対応プランや料金、実際の使い方は別記事で解説しています。
最新情報はMicrosoft公式ブログで随時更新されています。気になる方はチェックしてみてください!
参考リンク:
・Copilot Cowork: A new way of getting work done | Microsoft 365 Blog
・Powering Frontier Transformation with Copilot and agents | Microsoft 365 Blog
・Microsoft debuts Copilot Cowork built with Anthropic’s help | Fortune
・Microsoft launches AI tool that competes with Anthropic | Axios
・Copilot Cowork is now generally available | Microsoft 365 Blog



