文章の要約や会議メモの整理をAIに頼んだとき、返ってきた結果をどう直せばよいか迷うことはないでしょうか。
指示文(プロンプト)の書き方を工夫すれば回答の形は整います。 最初から完璧なプロンプトを一度で書く必要はありません。
最初に出た結果を観察し、足りない条件や形式を書き足して調整していくことが実用的な近道です。
実際の文章整理をもとに、合格条件の決め方から指示の直し方まで順を追って解説します。
出力の合格条件を決める
プロンプトを書き始める前に、どのような出力が出れば「合格」とするのか、基準をあらかじめ決めておきます。
合否の基準がないまま出力を眺めても、どこを直せばよいか判断できません。 文章整理であれば、次の3つの視点で基準を置けます。
- 事実の正確さ:元の文章にない日時や担当者を勝手に足していないか。
- 未決定事項の保持:「案」「未定」「未承認」の記述を、勝手に決定事項へ書き換えていないか。
- 形式の一致:箇条書き、表形式、指定の列数など、意図したレイアウトに収まっているか。
これらをあらかじめ意識しておくと、出力を見たときに「事実の誤り」なのか「単なる形式の不一致」なのかを切り分けて対処できます。
プロンプトで目的、材料、条件、形式を伝える
プロンプトを組み立てるときは、以下の4つの要素を整理して伝えると意図が伝わりやすくなります。
- 目的:何のためにその処理を行うのか(例:「関係者が確認作業を見分けられるように整理する」)。
- 材料:判断の根拠にするテキスト(例:会議メモや報告文)。
- 条件:守るべき制約(例:「材料にない事実を足さない」「未決定事項を区別する」)。
- 形式:出力のレイアウト(例:「3列4行の表」「前後の挨拶文は不要」)。
「あなたは優秀な専門家です」といった役割指定を使う場合でも、具体的な目的や材料をあわせて伝えることが大切です。 今回の実測では役割指定を使わず、処理の目的と材料を明確に渡しています。
まずは目的と材料を渡し、そのうえで必要な条件と形式を指定することが基本になります。
手元のPC環境でローカルLLMを使って文章整理を試したい場合は、LM Studioの導入記事も参考にしてください。

同じ会議メモで修正前後を確かめる
ここからは、架空の会議メモを題材にした実測データをもとに、指示の修正前後の変化を確認します。
今回の検証は、2026年9月13日にGemini API(モデル: gemini-3.8-flash、temperature: 1.0)へ送信して取得した記録に基づいています。
※チャット履歴を引き継がない独立したリクエストとして実行しています。
入力に使用した固定の会議メモは以下のとおりです。
社内勉強会は9月20日19時からオンラインで開催することに決定した。
参加費を無料にする案が出たが、まだ承認されていない。
田中さんが9月14日までに予算を確認する。
申込締切は9月17日という案がある。9月15日の打合せで決める。
告知文の作成担当と完成期限は、まだ決まっていない。
初回の指示と出力
まず、「短くまとめてください」という簡潔な指示だけで送信した初回の例です。
次の会議メモを、関係者に共有するために短くまとめてください。
出力結果は次のようになりました。
関係者への共有用に、決定事項と今後のタスクを整理しました。
---
**【社内勉強会 決定事項と今後の予定】**
* **開催日時・形式(決定)**
* 日時:9月20日 19:00〜
* 形式:オンライン
* **確認事項・タスク**
* **参加費(無料案)**:田中さんが9月14日までに予算を確認
* **申込締切(案:9月17日)**:9月15日の打合せで決定
* **告知文**:作成担当者・完成期限は未定(追って決定)
初回の出力を見ると、開催日時やオンライン形式といった事実関係が正しく保持されています。 参加費や締切が「案」であること、告知文が「未定」であることも崩れていません。
形式の指定をしていなかったため箇条書きで出力されていますが、初回の出力自体が誤りや失敗というわけではありません。
修正版の指示と出力
ここで、関係者がひと目で状況を確認できるよう、「3列4行の表形式」にレイアウトを変更する要望が出たとします。 初回の出力を引き継がず、同じ会議メモに対して、目的・条件・形式を明示した修正プロンプトを新しく送信しました。
社内勉強会の準備状況を、関係者が確認作業を見分けられる表に整理してください。
【条件】
- 下の会議メモだけを材料にし、書かれていない事実を足さないでください。
- 「案」「未承認」「未定」を区別し、決定事項に変えないでください。
- 担当者や期限が書かれていない場合は「未定」と書いてください。
【出力形式】
- 「項目」「現在の状況」「次の確認・作業」の3列の表。
- 行は「開催」「参加費」「申込締切」「告知文」の4つ。
- 次の確認・作業には、メモにある担当者と期限を添えてください。
- 表の前後の説明は不要です。
得られた出力は次のとおりです。
| 項目 | 現在の状況 | 次の確認・作業 |
|---|---|---|
| 開催 | 9月20日19時からオンラインで開催決定 | 未定(担当者:未定、期限:未定) |
| 参加費 | 無料にする案(未承認) | 予算の確認(担当者:田中さん、期限:9月14日) |
| 申込締切 | 9月17日という案がある | 打合せで決定(担当者:未定、期限:9月15日) |
| 告知文 | 作成担当と完成期限は未定 | 未定(担当者:未定、期限:未定) |
指定どおり、「項目」「現在の状況」「次の確認・作業」の3列で、4項目の表形式が出力されました。
出力の判定と比較
初回と修正版の出力を、先ほど設定した合格条件に照らし合わせて整理した結果が以下です。
| 判定項目 | 初回の出力 | 修正版の出力 |
|---|---|---|
| 事実の正確さ | メモの内容と一致(正確) | メモの内容と一致(正確) |
| 未決定事項 | 案・未定を正確に保持 | 案・未定を正確に保持 |
| 形式の一致 | 未指定(箇条書き) | 指定どおり(3列4項目の表) |
修正版では、形式が箇条書きから表形式へと意図どおりに変化しました。
なお、修正版の「開催」行の次の確認・作業列に「未定」と入っているのは、「担当者や期限が書かれていない場合は未定と書く」という指示に従った結果です。 開催日時そのものが未定になったわけではないため、表の各列の意味を分けて確認する必要があります。
モデル自体の特徴や使い分けの基準については、こちらの比較記事で詳しく解説しています。

結果を見て必要な条件と形式を直す
実測の結果からもわかるように、同じ会議メモに対しても、条件と形式を補って指定することで箇条書きから目的の表形式へと出力を整えられます。
出力を見直して指示を調整する際は、次の手順で進めます。
- 出力を観察する:事実の過不足、未決定事項の混同、形式のズレがないかを確かめます。
- 足りない要素を特定する:「表形式にしたい」「前後の挨拶文を削りたい」など、変えたい点を見つけます。
- 条件や形式に追記する:特定した要素を、箇条書きの条件や出力形式の指定としてプロンプトに追加します。
最初から完璧な文章を一発で出そうとする必要はありません。 「1度動かして結果を見てから、足りない要素を足す」という反復の姿勢を持つことが大切です。
まとめ
プロンプトを整える際の要点は次のとおりです。
- 事前に合格条件を決める:事実の正確さ、未決定事項の保持、形式の一致を基準にする。
- 4要素を整理して渡す:目的、材料、条件、形式を区別して記述する。
- 初回の結果を観察する:事実関係に誤りがないかを確認し、形式のズレと切り分ける。
- 必要な指定を足して調整する:1度で完璧を目指さず、足りない条件や出力形式を書き足す。
思いどおりの回答が得られないときは、まず「形式や条件の指定が抜けていないか」を出力と照らし合わせて確認してみてください。

